ここまで、4つの認知症(アルツハイマー、レビー小体型、血管性、前頭側頭型)について説明しましたが、他にもたくさんの認知症があります。
今後も、他の認知症についても、説明していこうと思います。
さて、認知症は、いろんな原因により引き起こされますが、認知症の前段階のことを、軽度認知機能障害と呼びます。軽度認知機能障害の人は、認知症のように社会生活や日常生活が障害されていることはないけれども、軽度の認知機能障害を呈している状態です。軽い物忘れ、注意力低下、など、正常よりは若干の低下を認める状態です。
軽度認知機能障害の方は、1年間に10%程度が、認知症に移行すると言われており、どのタイプの認知症が背景に存在するかを調べることで、将来の予測や、生活の改善、備えを始める良い機会になります。
例えば、アルツハイマーが疑わしいとなれば、その後慎重に経過を観察し、認知症に移行した段階で、投薬を始めると、かなりの早期診断、早期介入となります。
また、体の病気が隠れていたり、内服している薬の副作用で、認知機能が下がっているなど、治療可能なものも、この時点で介入ができると、回復の可能性が高まります。
なにより、認知症の前段階であることを認識し、自分自身で、自分のコトを決めることができます。財産の管理や、生活の送り方などの経済的な事柄や、意識がなくなって食事が取れなくなったときに、どうしたいか、といった本人の希望が最優先されるべき事柄を、自分で決めておくことができるのは、とても大事です。
残念ながら、軽度認知機能障害の段階で、アルツハイマー型認知症と診断されても、有効な薬物療法はしられていません。しかし、2015年に発表された論文によると、軽度認知機能障害の方に、食事、運動、認知機能訓練、心血管リスクモニタリングを行うと、軽度認知機能障害から認知症への進行が少なかったり、改善したという報告がありました。一つ何かをすればよい、ということではなく、いろいろなことを同時に行うことで、認知症への移行が予防できるかもしれない、ということです。このことについては、現在、多くの国で確認のための研究が行われています。
軽度認知機能障害の診断は、僅かな変化を捉えることが必要なので、いろいろな詳細な検査が必要なことがあります。MRI、脳血流SPECT検査、PET検査などを組み合わせて行われることが多いです。まだ、大丈夫と思っている方こそ、お近くの、物忘れ外来、メモリークリニックなどの、専門の外来に受診されるのがよいと思います。最近では、健康診断として、気軽に一度は受診してみようとお考えの方が増えています。
認知症専門医 千葉悠平
今後も、他の認知症についても、説明していこうと思います。
さて、認知症は、いろんな原因により引き起こされますが、認知症の前段階のことを、軽度認知機能障害と呼びます。軽度認知機能障害の人は、認知症のように社会生活や日常生活が障害されていることはないけれども、軽度の認知機能障害を呈している状態です。軽い物忘れ、注意力低下、など、正常よりは若干の低下を認める状態です。
軽度認知機能障害の方は、1年間に10%程度が、認知症に移行すると言われており、どのタイプの認知症が背景に存在するかを調べることで、将来の予測や、生活の改善、備えを始める良い機会になります。
例えば、アルツハイマーが疑わしいとなれば、その後慎重に経過を観察し、認知症に移行した段階で、投薬を始めると、かなりの早期診断、早期介入となります。
また、体の病気が隠れていたり、内服している薬の副作用で、認知機能が下がっているなど、治療可能なものも、この時点で介入ができると、回復の可能性が高まります。
なにより、認知症の前段階であることを認識し、自分自身で、自分のコトを決めることができます。財産の管理や、生活の送り方などの経済的な事柄や、意識がなくなって食事が取れなくなったときに、どうしたいか、といった本人の希望が最優先されるべき事柄を、自分で決めておくことができるのは、とても大事です。
残念ながら、軽度認知機能障害の段階で、アルツハイマー型認知症と診断されても、有効な薬物療法はしられていません。しかし、2015年に発表された論文によると、軽度認知機能障害の方に、食事、運動、認知機能訓練、心血管リスクモニタリングを行うと、軽度認知機能障害から認知症への進行が少なかったり、改善したという報告がありました。一つ何かをすればよい、ということではなく、いろいろなことを同時に行うことで、認知症への移行が予防できるかもしれない、ということです。このことについては、現在、多くの国で確認のための研究が行われています。
軽度認知機能障害の診断は、僅かな変化を捉えることが必要なので、いろいろな詳細な検査が必要なことがあります。MRI、脳血流SPECT検査、PET検査などを組み合わせて行われることが多いです。まだ、大丈夫と思っている方こそ、お近くの、物忘れ外来、メモリークリニックなどの、専門の外来に受診されるのがよいと思います。最近では、健康診断として、気軽に一度は受診してみようとお考えの方が増えています。
認知症専門医 千葉悠平