認知症は、状態像ですが、認知症を呈する病気は多岐に渡ります。
アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症、前頭側頭型認知症は、4大認知症と言われており、頻度も比較的多いです。その他にも、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、アルコールによる認知症、ビタミンなどの栄養障害に伴う認知症などもあります。また、高齢者のてんかんが、認知症のように見えることもあります。外傷性の認知症もあります。神経難病といわれる、皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症なども認知症を呈すると言われています。
身体疾患に伴うものとしては、塩分バランスが崩れている場合、腎機能障害、肝機能障害、心不全などが背景にある場合、内分泌疾患が背景にある場合など体の不調から、脳の機能を悪化させる場合もあります。
また、高齢者は、内服薬が多くなり、薬の副作用で、認知症のようになることもあります。
ここに挙げたものの他にも、認知症の原因疾患は非常に多岐に渡っており、正確な診断は実はとてもむずかしいです。認知症の専門外来では、認知症の有無に加えて、認知症の鑑別といって認知症の原因を特定するための、診察や検査を行います。
それぞれの病気ごとに、症状や経過が異なり、薬物療法や生活の支援といった点でも、違いがあります。また、適切な対応を行うことで、認知機能も改善することがあります。認知症がかなり進んでしまうと治る認知症も治らない可能性が高くなってきます。そのため、早期の受診が、大変重要です。
認知症の鑑別のためには、お医者さんは、たくさんの病気の知識を頭に入れる必要があります。アルツハイマーや、レビー小体型認知症にそっくりでも、実は別の病気であることもあります。
認知症の鑑別診断は、認知症専門の病院や、全国の認知症疾患医療センター指定病院で受診することができます。一般的には、問診の他、頭部の画像検査や血液検査を行うことが多いです。物忘れを含めて、今までとの違いが気になるようでしたら、一度受診するのが良いでしょう。
認知症専門医 千葉悠平
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