今日は認知症と同じような症状の出る
 特発性正常圧水頭症についてお話しします。

特発正常圧水頭症は脳脊髄液吸収障害に起因し、頭蓋内に脳脊髄液が増加し、その結果、頭蓋骨に囲まれた脳は脳脊髄液と頭蓋骨の間に挟まれる形となり、機能低下をきたし、認知症のような症状がでる病気です。

10万人に21.9人、高齢者の1.1%、認知症クリニック受診患者連続400人のうち3.5%、パーキンソン病を疑われた人のうち19%といった報告があります。この病気は高齢者に多く発症し、ゆっくりと進行します。

特発性正常圧水頭症の症状は、歩行障害(歩幅が小さい、足を上げない、開脚歩行)、認知障害(物事の遂行に時間がかかる、注意障害、記憶障害など)、排尿障害(尿意切迫、尿失禁) が3徴と言われます。症状別に見てみると、歩行障害は91%,認知障害が 80% ,排尿障害が 60%の患者に認められ,これらの 3 徴が揃うのは 51%程度といわれています。その他の症状では精神症状(88)があり、無関心や不安などがあります。

認知症と同じような症状ですが、
適切な診断とシャント手術(脳脊髄液を頭蓋内からその他の体内に流す手術)により、症状の改善が得られる可能性がある病気です。     
山口将(すすむ)脳外科医