物忘れを訴えて病院を受診される患者さんの中に、医療従事者が”treatable dementia”と呼ぶ患者さんが混じっています。Treatableとは、治療可能という意味で、つまり”treatable dementia”とは、”治療によって認知機能障害が改善する可能性のある認知症”という意味です。
認知機能障害を起こすことがある疾患は、代表的なものを挙げるだけもこんなにあります!
・感染性疾患… 脳炎、梅毒、エイズなど
・内分泌・代謝疾患… 甲状腺機能低下症、低血糖発作、ビタミン欠乏症、電解質異常
・臓器障害… 肝不全、腎不全
・中毒性疾患… 鉛中毒、有機溶剤中毒、アルコール中毒
・薬剤性
・正常圧水頭症、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫など
これらの疾患によって起きる認知機能障害は、原疾患の適切な治療によって、改善することがあります。よって、認知症の診断を行う際は、これらの疾患が隠れていないか必ず鑑別を行います。
この鑑別には、患者さんのご家族からの情報が重要なヒントになることがあります。
例えば、食事摂取の状況、内服薬の有無や管理状況、職業歴、歩き方はどうか、認知機能障害以外の症状はないか、などなど……。
些細なことでも構いませんので、気になることは是非主治医に相談してください。
思わぬ他の疾患を見つける手掛かりになることがあります。
内分泌・糖尿病内科 医師 千葉 ゆかり
コメント
このブログにコメントするにはログインが必要です。
さんログアウト
この記事には許可ユーザしかコメントができません。