老化とは何でしょうか。

高齢になれば、だれでも、物忘れは出てきます。なれていないこと、しばらくぶりの人の名前や顔が思い浮かばないことも、必ずしも異常とは言えません。

一般的に、高齢になると、意欲の低下、感情の起伏、集中力、理解力の低下などがある程度出てくることが普通です。さらに、仕事や役割が少なくなるために、外出の頻度、活動量の低下がみられます。高血圧、脂質異常症といった生活習慣病や、関節痛などの整形外科的な疾患も含めて、いくつかの持病があることも普通に見られます。

 

高齢期にみられるこのような生理的変化の背景として、脳神経にはどのような変化が起きているのでしょうか。老化した脳は、正常の脳と比べて、びまん性の軽度の脳萎縮がみられ、顕微鏡で詳しく見ると、びまん性老人斑と言われる変化がみられます。これは、アミロイドと言われるタンパク質から構成されている、老化の変化です。老人斑は、アルツハイマー型認知症の脳変化としても、出現してくるものです。(詳しくは難しいのですが、興味のある方は、http://dementia.umin.jp/link4-3.html

 

アミロイドは、毎日起きているときに脳内に増えて、睡眠の後に、量が減ることが知られています。最近の報告では、脳内のリンパ系といわれる、グリンパティックシステムと言われる機序によって、睡眠中に脳内の掃除が行われている可能性が示唆されています。グリンパティックシステムの詳細や、アミロイドの出現の原因は、まだ詳しくはわかっていませんが、今後の研究が期待されます。(https://www-karger-com.laneproxy.stanford.edu/Article/FullText/490349

 

 

生理的な脳の中では、長年かけて老化に伴う変化が起きています。そのために、老化に伴った精神、認知、運動機能の変化が出てくると言われています。

 
認知症専門医 千葉悠平