認知症介護者のためのブログ

医師を含む複数の専門家による、認知症介護者へのメッセージ。 認知症に関する様々な情報を提供します。

高齢期の発達課題として、発達心理学者のエリクソンは、「統合と絶望」ということを挙げています。高齢期は、今までの人生の総まとめという時期です。長い人生の中で、今までしてきたこと、出会ってきた人、周りへの影響などについて振り返ることが、多くなると言われています。それは、高齢期特有の、退職、老化、病気、社会とのつながりの低下、死別といったイベントを通して、自分の人生と自分の死に直面化せざるを得ない状況となりやすいからです。自分の人生を、良い人生だった!と思えるのが、統合。そして、その逆が絶望です。

 

高齢者自身は、統合の達成を目指すこととなり、高齢者を支える側の人たちは、高齢者本人の統合をサポートするということになります。

 

高齢者と関わる時の一番大事な姿勢は、この関係性にあると思います。原則的には、支援者の立場としては、人生の大先輩としての高齢者の考え方、行動を受容し、肯定するという姿勢が大切になります。

これは、高齢者に、認知症があろうとなかろうと、関係のないことです。特に、認知症があるときは、高齢者本人が自分の人生を語れないことがありますから、高齢者と関係のある人たちから、その人の人生について聞くということも重要になります。目の前の高齢者を、人生の物語の主人公であると捉えることで、意思のある一人のかけがえのない人として扱うことにつながります。

 

個別のケースでは、それぞれ状況が違うと思いますが、軸となる基本姿勢を持つと、迷った時に、判断がつきやすくなると思います。

自分や家族から、記憶力がおちた、人の名前や、ものの名前が出てこない、ものを失くしてしまう、何度も同じものを買ってきてしまうなどといったことを経験するようになると、認知症かな?と気になりますか?いやいや、だれでも年をとると、物忘れは出てくるものだ、と気にしませんか?

 

年を取ることによって出てくる物忘れと、認知症によってでてくる物忘れは、区別されるものです。認知症によって生じている物忘れを放置してしまうと、徐々に進行して、物忘れ以外の困った症状が多く出てきます。

高齢期に気にしないといけないことは、認知症だけではありませんが、認知症は長く付き合っていかないといけない病気なので、認知症があるのとないのでは、生活の質が大きく変わってきます。

 

認知症の方、認知症介護に関わる方は、日本のみならず、世界中に多くいらっしゃると思います。日本では多くの書籍等が販売され、福祉サービスも多くなってきましたが、日本国外の日本人の方が、気軽に情報を得ることは、まだまだ難しいと思います。

 アメリカ、カリフォルニアで活動している、Rokuro.orghttps://www.rokuro.org/)では、在米日本人にむけて、認知症高齢者介護に関連する知識の提供を行っております。ここで行われた認知症、高齢者に関連する講演、知見について、共有をしていくこととなりました。

 

このブログでは、認知症について、以下のことを説明していこうと思います。

1、高齢期に気にしていく必要のある健康上の問題

2、認知症という病気について

3、認知症の診断のための検査について

4、認知症の進行抑制について

5、認知症の患者さん、家族のためのサポートについて

6、認知症の患者さんのケアのために気を付けること

7、認知症の患者さん、家族が気を付けるお金の話

8、認知症にともなう、心理的行動的な問題症状について

9、認知症に伴う、運動機能の障害について

10、認知症に伴う、嚥下機能の障害について

11、認知症の予後、終末期について

 

認知症について理解を深めることで、高齢期を積極的に、アクティブに過ごすことや、自分や家族の人生のまとめを作ることに取り組むためのヒントが多くあると思います。全部を読むことは難しいにしても、必要なところを読んだり、大事なところを目を通してもらって、在米介護、長距離介護などをされている方にお役に立てればと思います。

 

 

精神科医 認知症専門医  千葉悠平


こんにちは。
糖尿病内科医の千葉ゆかりです。
本日は、認知症患者さんの内科疾患に対するお薬の管理について書きます。

認知症患者さんは、ご高齢の方が多いですから、他の内科疾患を併せて抱えていることが多いです。
高血圧や糖尿病など、毎日飲まなければならないお薬を処方されている方も多いことでしょう。
お薬の管理は、きちんと出来ていますか?

認知症患者さんは、物忘れや判断力の低下により、お薬の管理が曖昧になってしまいます。
すると、内科疾患の治療の質が低下して、また別の病気を引き起こす原因となってしまいます。
また、お薬を間違って飲んでしまうと、重篤な副作用がおきてしまうことも考えられます。

お薬の適切な管理は非常に重要です。

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私の専門は、糖尿病や高血圧などの生活習慣病です。
生活習慣病のお薬は、毎日決められた通りにお薬を飲むことが重要です。

例えば、アカルボース(Acarbose, 商品名;グルコバイ, Precobay®️)というお薬があります。このお薬は、3度の食事の直前に飲むことで、食後の血糖値の上昇を抑えるお薬です。食事の直前に飲むというのは、習慣化することがなかなか難しく、認知症じゃない方でも飲み忘れる方が多いです。

定期外来で継続処方しようとすると……



患者さん「そのお薬、飲み忘れた分がたくさん家にまだあります」
私「では、その分だけ今回の処方箋から減らしますね。何錠くらいありそうですか?」
患者さん「えっと……100錠?いや……200くらいあるかも……」
私「えっ……(絶句)」



このように申告して下さる方はまだいい方で、きっとご自宅の引き出しの中に大量に眠っているという方もいることでしょう。

飲み忘れを防ぐために私がよく提案する方法は、1週間毎のお薬管理ケースを利用する方法です。
最近では百円ショップでも売っているそうです。
「薬管理ケース」で検索してみてくださいね。
7日分、3食分に仕切られており、このケースに、介護者の方にお薬をセットして頂きます。
飲み忘れや飲み間違いを防ぐことが出来ますし、飲み忘れてしまっても、飲み忘れたことが簡単に確認できます。

この方法は、離れて暮らしているご家族でも、週に1回の訪問で助けることができますし、1ヶ月分の管理ができるカレンダー式のものもあるようです。





糖尿病のお薬に関して、飲み忘れよりも怖いのは、間違って同じ薬を2回飲んでしまうことです。
効果が重なってしまうことで、低血糖を起こしてしまうことがあるからです。
特にSU薬(アマリール®️など)は、重篤な遷延する低血糖を起こしてしまうので要注意です。

お薬ケースを使うことで、お薬の重複のリスクも減らすことができます。


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認知症の患者さん、認知症が疑われる方、ご高齢の方すべて、まずはちゃんとお薬が飲めているかどうか、確認してみてください。
引き出しに残薬がないか、チェックしてみてください。

大丈夫とご本人がおっしゃっても、大丈夫じゃないこと、よくあります。



飲み忘れが多そうな場合は、まず主治医や薬剤師に相談しましょう。

主治医は、飲み忘れにくい処方内容を考えます。
私なら、例えば、なるべく1日1回のお薬に変更したりします。
そして、飲み間違いが起きても危険が少ないお薬に変更します。

薬剤師さんは、お薬を一包化したり、その包装に日付を付けたり、色々な対応をしてくれます。

医師や薬剤師は、お薬がきちんと管理できているか確認する術がありません。
ご家族の協力や情報は、とても助けになります。どうぞよろしくお願いします。



本日はお薬の管理について書きました。
ありがとうございました。

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